基本知識


最初は基本知識から。
せいうちやあざらしのプロフィールを紹介します。
あらかじめ言っておきますが、せいうちやあざらしは皆、哺乳類の海獣です。
・・・お魚の仲間じゃないですよ。


セイウチ(Walrus)
 セイウチ科の哺乳動物で、四肢が鰭(ひれ)状になっており、鰭脚類(ききゃくるい)に分類されます。
 セイウチ科の中には2つの亜種しかなく、大型のタイヘイヨウセイウチと、やや小柄タイセイヨウセイウチがいますが、実は生息海域以外の区別はあまりついていないようです。
 どちらも北極海の沿岸や氷上に棲息しており、大集団のコロニーを形成して生活しています。
 生まれたばかりの赤ちゃんでも体重はすでに60kg前後もあり、成獣になると、大きな雄では体長3m・体重1,000〜1,500kgほどの巨体になります。
 耳たぶはなく、硬いひげと長い2本の牙を持っているのが最大の特徴です。
 牙は上あごの犬歯が伸びたもので雄雌ともに生え、その長さは70cm〜1mにも達し、陸にあがるときにはスパイク代りに使ったりすることもあります。
 幼い子供の牙は外部から見えませんが、成長とともに伸びて、2歳ころから外に見えるようになってゆきます。
 アシカ類のように足鰭を前に曲げることができるため、やや不器用ながら歩くこともできます。
 全般的に臆病でやさしい性格で、陸上での動作はゆったりまったりとしていますが水中での泳ぎは意外と速く、いざとなれば牙で外敵と戦ったりする勇敢な一面もあります。
 食性は肉食ですが、魚を捕えて食べたりすることは稀で、ひげを使って海底を探索し、主に貝やエビ、カニなどを食べています。
 牙は象牙とほぼ同質のため、「みずぞうげ」と呼ばれて印材や彫刻材などに、皮や骨は道具として、そして肉は食用にと利用方法が広く、乱獲された時期もありました。(現在はワシントン条約で保護されています。)
 漢字では「海象
(かいぞう)」、「海馬」とも書きますが、セイウチの語源はロシア語の "sivuch" からと言われています。


アザラシ(Seal)

 漢字では「海豹」と書きますが、たぶんこれは体の模様からつけられた呼び名で、およそ精悍な雰囲気とはかけ離れた、のんびりとした風貌をしています。
 アザラシも、セイウチやアシカなどと同じく鰭脚類に分類されますが、決定的な違いはその後鰭にあります。
 アザラシの足鰭は、水中で魚を捕食するために泳ぎをより重視した進化を遂げたことから、後方に水を掻くのには適している反面、関節を前方に曲げることができなくなってしまったのです。
 ゆえに陸上では足を使って歩くことが不可能で、前鰭の爪で地面を捉えるほかには、「びちびち」と腹這いのまま、いもむし様に進むしかできないのです。
 もっとも、アザラシはかしこいので、坂を下って海に戻るときにはゴロンゴロンと横転を繰返して転がってくという技を使うこともあります。
 アザラシは寒帯の海が主な棲息地ですが、ハワイ近海の温帯にも仲間がいますし、なかにはバイカル湖に住む淡水アザラシもいます。
 世界中に現存する18種類のアザラシのうち、日本近海には5種のアザラシがやって来ます。
 アザラシは全身を厚い皮下脂肪と水をはじく暖かな毛皮で覆われており、寒さに強い体のつくりになっていますが、ひなたぼっこをするのが大好きのようで、岩場などに上っては一日中転がって寝ていることもあります。
 その姿はまさに無防備で、シャチに襲われて食べられたりすることもあります。
 また、人間からも毛皮は防寒着、体脂肪は良質の油脂として使うために狩猟の対象となり、タテゴトアザラシなどは白い毛皮を珍重するあまりに乱獲を重ねられ、その数が激減しましたこともありました。
(カリブカイモンクアザラシは絶滅したとみられています)
 ただ、今度は地球温暖化のせいで、出産期の流氷範囲が狭まってしまい、また種の危機が迫っているとのことです・・・。


アシカ ・ トド ・ オットセイ(Sea lion)


 アシカ科の動物のうち、アシカ亜科に分類される「アシカ」と「トド」、それにオットセイ亜科に分類される「オットセイ」がいます。
 つまり、アシカもトドも本来は同じ科の動物なのですが、イルカとクジラの関係と同様でに小型のものをアシカ、大型のものをトドと分類しています。
 アシカはアイヌ語を、トドは和語を語源として呼ばれ始めたようです。
 一方オットセイは、アシカよりもさらに小ぶりな体格で、体にビロードのようなの毛が生えていることが特徴です。
 アシカの仲間は、アザラシと違い、よく見ると小さな三角形の耳たぶがあります。
 また、足鰭がセイウチ同様に前にも曲がるので、陸上でもペタペタと歩くことができます。
 これは泳ぎ方の違いによるもので、アザラシが前鰭を使わずに足鰭を左右に振って泳ぐのに対して、アシカたちは主に前鰭で水を掻き、足鰭で舵をとる泳ぎ方をするためと考えられます。
 その後鰭の器用さゆえ、各地の水族館で芸達者ぶりを見せてくれているのです。
 アシカは主に南太平洋に産し、日本からオーストラリアにかけて分布しており、トドは太平洋北部を中心とした範囲、樺太や千島列島、北海道北部を棲家としています。
 かつて日本近海にもニホンアシカという亜種がいましたが、現在では絶滅したとみられています。
 英語ではアシカ、トドとも"Sea lion"で区別はないみたいですが、オットセイは"fur seal"とも言います。
 ちなみに、漢字で書く場合、アシカは「海驢」、トドは「胡☆
(2文字目はケモノ扁に賓という難しい字です)」、オットセイは「膃肭臍」となります。






どうですか?だいたいの区別がつくようになりましたか?
まだ今いちですと!?
要は、
牙のあるのがセイウチ!
歩き回って芸をしてるのがアシカ!
アシカのでかいのがトド!
鰭が曲らなくてびちびち這ってるのがアザラシ!

わかった?!

・・・わからない人は、次のページを見てみよう。


04.12.03.up