HONDA CLICK-i street



タイホンダ製の110cc 4stスクーター、クリック-i (CLICK-i)である。
このクリック-i は、白を基調に青・赤という色使いや、特徴的なデュアルヘッドライト形状から、
「ガンダム」を彷彿させるデザインとなっており、非常にお気に入りである。
公式パンフレットによると、このカラーは「デビルホワイト レッド」という名称であるが、
訳すと「白い悪魔/赤」・・・やっぱり連邦の白い悪魔、ガンダムだ!(笑)

ホンダは国内販売モデルの多くをタイをはじめとする海外工場で生産しているのは承知のとおりだが、
タイホンダでは日本未発売の独自モデルを開発して販売している。 そのひとつが、このクリック-i だ。 
タイ専売モデルには、エンジン・電装系は国内モデルと共通、または先行生産的なパーツが使用されており、
いわばプロトタイプというようなテストヘッドモデルが多く見られる。 例えば、このクリック-i を
ベースにしてボディ等を変更したマシンが、後日、Dio110として国内発売されるなどしている。

タイホンダのオリジナルモデルは、同一モデルの生産期間が極めて短いことが多く、多彩なカラーバリエーションを
考慮すると、同型同色機は非常に少ない。 まして、110ccモデル最終型となった本型式は、第1期生産分の
ロールアウト直後に大型台風による工場被災という不運に見舞われ、生産中断となったまま次期モデルCLICK-i 125に
バトンタッチされたという特異な経歴を持っており、国内で唯一、輸入取扱いのあったバイクショップロミオ系列店によれば、
事前予約で取寄せを依頼していた本機ほか数台が日本に到達したのみで、兄弟機は工場水没のため
予備部品を含めほぼ全滅。 辛うじて日本に逃れたわずか数台も、すべて色違いであったため、
このガンダムっぽいトリコロールカラーは、日本全国でもたった1台しかないという。

だが、もはや工場にも予備部品がないということは、もし故障してしまった場合は・・・どうしたらいいんだ?
とかいいつつ各所に追加装備を入れて、ベースイメージを損なわないようにカスタムリファインしていく。

ガンダムのデュアルアイにも見えるヘッドライトは、
PIAAプラチナスパークバルブ(4100K)に換装している。
元々レンズカバーが淡いクリアブルーで成型されて
いるため、鮮烈な白いビームがよく映える。
ノーマルバルブに比べ、かなり明るいイメージとなり、
HIDランプ並みの視界を確保できた。

ウインカーは、単純なオレンジ色バルブが付属していた
ところ、思い切ってLEDランプ化を試みた。
5つのLEDが開きかけの花びらのように配置された
高輝度LEDランプを採用。 ミニサイズながらLEDらしく
大光量を発し、昼間帯でも視認度が高い。
   
テールランプは「ロボティクス」と形容される、シャープなデザインとなっている。
タンデムバー下から突き出すような、シャープな形状のテールランプユニットが印象的である。
ウインカー部分はヘッドライトと同じく淡いクリアブルーの成型で、もちろんリアもLED化している。
テールランプはブレーキランプ兼用の2段階可変バルブであるが、これもLED化を図った。
内部の多面ミラーに赤いLED光が万華鏡のようにキラキラ反射して、まるで波動砲みたいだ。

各種スイッチ、メーター類はコンパクトにまとまりつつ、ここにも「ロボティクス」デザインが生かされている。
メーターコンソールは、センターに大径のスピードメーター、その左にFI警告灯、水温警告灯と左ウインカーランプ、
右側には燃料計と右ウインカーランプ、上部にハイビーム警告灯が配置され、一体型のクリアカバーで覆われている。

ハンドルグリップやバックミラーは、無粋なノーマル品であったため、機能及びデザイン性を高めるため交換した。
グリップエンドには、軽めのハンドリングを安定させるレッドメタルのバーエンドを追加、このほかミラー取り付けボルトや
マスターシリンダーカバーも、社外品のアルミパーツをセレクトしてドレスアップしてある。

多くのスクーターがヘッドライトを装備しているメーターカバー前部は、短いクチバシ状で何もついていない。
(実は、中にリレーなどの電装ユニットが収められているのだが、外観的にはHONDAロゴがあるだけだ。)
ライトユニットがハンドルマウントでないぶん、ハンドルの取り回しはいくらか軽めになっているようだ。

バックミラーはKOSO製の五角形GTミラーをチョイス、ヘッドライト形状に合わせてみた。
ナックルカバーはKITACOの汎用タイプを、バックミラーステーにマウントしている。
EFSF(地球連邦宇宙軍)ホワイトベース所属110番機のマーキングはご愛嬌?

 
足回りは、フロント、リアともに14inchと、やや大径のスポークホイールを装着しており、
国産スクーターとスーパーカブの中間くらいの径で、直進安定性に優れている。
ブレーキはフロントディスク式、リアドラム式とオーソドックス。

エンジンは、水冷4ストロークSOHC単気筒108ccのCN110SE型。
PGM-FI(フューエルインジェクション=プログラム電子制御燃料噴射装置)を採用しており、
本型式にモデルチェンジした際にCLICKからCLICK-i と「i」がついたのも、インジェクション化を表わしたものである。

バイクのFIエンジンは初めて乗ったが、回転・吹き上がりとも安定しており、違和感はほとんど感じない。
タイ現地で撮影された動画では、140km/hのメーターが振り切れるまで出している状況が公開されているが、
実際に乗ってみると、車体の軽さもあって、本当に出せるだろうなというポテンシャルを感じることができる。

リアボックス未装着のノーマル状態。 もともとはタンデムバーのみのすっきりしたデザインであった。
しかし、FI搭載のためのエンジンレイアウト変更の犠牲になったらしく、メットイントランクの容量が
半キャップヘルメット程度しかないという致命的な積載量不足が本機のウィークポイントであった。

そこで、市販のリアボックスを装着すべく、画策を始めた。
そもそもリアキャリアのオプション設定すらないので、ベースとなるキャリアから自作を試みる。
バイクパーツ製作を請け負っている鉄工パーツショップを頼り、ワンメイクで製作をお願いした。
シート下のタンデムバー取付ネジのところにはさみ込むようにステーを加工してもらい、ぴったり装着!

 
新造したリアキャリア上に、キジマ製のリアボックス
Reembark K-25をセットする。
なお、CLICK-i ステッカーは、耐水シートで自作した。

このリアボックスは、デザインも満足いくものであるが、
何より30Lの容量があるため、フルフェイスヘルメットも
余裕で収納できるほか、ジェットヘルメットならば、
うまく組み合わせれば2個収納可能である。

これで買物等にも十分対応できる積載量となった!



クリック-i 諸元
名称:ホンダ(タイホンダ) CLICK-i
製造年:2011年
形式:ACB110SB(3TH)
車台番号:CN110S-00XXXXX
全長:1898mm 全幅: 680mm 全高:1092mm 軸距:1273mm
最低地上高:125mm シート高:750mm
車両重量:98.8kg 乗車定員:2人
エンジン型式:CN110SE (2011年式)
水冷4ストロークSOHC単気筒 総排気量 108cc
内径×行程:50.0mm×55.0mm 圧縮比:11.0:1 ギヤ比:2.53-0.85
最高出力:??kW[??PS]/???rpm(未公開)
最大トルク:10.4N・m[10.2kgf・m]/6,000rpm)
始動方式: セル・キック式
電子制御燃料噴射装置 PGM-FI(Programmed Fuel Injection System)
点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
燃料タンク容量:3.6L エンジンオイル容量:0.8L
変速機形式:無段変速式(Vマチックベルト)
タイヤ(F):70/90-14M/C 34P
タイヤ(R):80/90-14M/C 46P
ブレーキ形式:(F)油圧式ディスク (R)リーディング・トレーリング
懸架方式:(F)テレスコピック式 (R)ユニットスイング式
キャスター/トレール:26゚30'/85.0mm
フレーム形式:アンダーボーン
バッテリー:12V/3Ah YTX4L-BS互換(FTX4V)
標準電装:前照灯12V-25/25w(PH7) ×2 尾灯12V-18/5w
     ウインカー 12V-10w ×4 PGM-FI 12V-1.7w


110ccモデル最終型となる本型式には、パンフレットでは装備バリエーションとして、
「Street」「Forward」「Tune-up」の3種類がラインナップされているが、諸元表で見る限り、
「Forward」モデルのみホイールが非スポークタイプでコンビブレーキを搭載しているほかは、
「Street」モデルと「Tune-up」モデルに至っては全く同じスペックである。
どうやら、ステッカーの意匠違い等、デザイン上の区別のみと思われる。
(ただし、ヘッドライトレンズ等がクリアブルー成型になっているのは、Streetのみ。)
カラーバリエーションは、Streetが「
Devil White Red」と「Mortal Black Red」、
Forwardが「
Thrilling Red Brown」と「Atomic White Brown」、
Tune-upが
「Dynamite Black Red」と「Thunderstorm Blue Black」の各2種ずつとなっている。
それにしても、どれもエキサイティングな命名ですなあ。

これでも、れっきとしたホンダ車なんだよ。
なぜこの秀逸なデザインを国内販売しないのか?!


16.05.05.up