日の出が近づき、まっ暗だった海の様子が少しずつ見えるようになってきた・・・て、あれ? え、えええ? これってどういうこと?! 昨晩までぎっしりと接岸していたはずの流氷がなーい?! いや、ないわけではないが、大部分は岸から離れて沖合いに流れてしまっているではないか。 まじで?! これじゃ今日の訓練はどうなるんだ。 実行可能なのか? |
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お迎えにきてくれた流氷ガイド氏によれば、「残念ながら見渡す限りの流氷・・・という状態ではないのですが、 流氷ウォークにはぜんぜん問題ありません。 歩き回る距離にはまだたくさん残っていますから。」とのこと。 なんでも流氷はきまぐれで、潮流や風向きによっては、一晩で欠片も残さず視界から消えてしまうこともあれば、 反対に水平線の彼方まで一面の流氷が押し寄せたりと、結構動きが速いらしい。 見ればたしかに岸から50〜100mの範囲には流氷が折り重なるように残っている。 なるほど、これならイケそうだ。 |
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今回、訓練を支援してくれたのは、NPO SHINRA(知床ナチュラリスト協会)。 催行人数の関係で事前予約が必要だが、ホテル送迎から同行ガイド、 ドライスーツ等の貸出しまでセットしてくれる。 1BOXカーで数か所のホテルからメンバーを拾い、現地へ向かう。 少人数のパーティでガイドしてくれるため、いろいろ話も聞けるし、 メンバーの体力・経験値に合わせたルートを選定してくれるぞ。 (もちろん、毎日流氷の位置が変わるので、その都度、新規ルート開拓となる。) 国道際のパーキングに停めて拠点とし、ここで全員、準備してもらった ドライスーツを着装する。 このドライスーツは完全防水なので、トレーニングウェアなどをインナー として着込んだ上から、すっぽりとドライスーツを着ることになる。 |
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ただし、流氷上は寒そうだから・・・と心配のあまりに着込みすぎると、 実際に動き回ったときに、スーツ内が汗だくになるから注意だ。 たしかに早朝で気温は低いが、新雪をかき分けたり、折り重なった 流氷の塊を乗り越えたりと、行動中は相当ハードな運動になるため、 もともと汗カッキーズの隊長は、Tシャツ+スウェット(上)で汗だくだった。 普通の人は長袖2〜2.5枚の重ね着くらいがちょうどよいかもしれない。 ところで、せいうち体型の隊長でも着られるドライスーツがあったよ。 かなーりぴっちぴちだったけどね。→ (ガイド氏は「オーダーメイドみたいですね。」とフォローしてくれたよ。 たしかに、スーツ内には一分の隙もなくぴったりのジャストサイズ!) |
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準備ができたら、さっそく流氷上に出てみよう。 静かな海面のむこうには、沖に浮かぶ流氷群が白く見える。 しかし、流氷ってほんとうに青いんだね。 特に、まだ朝日が当たらないこの付近は、濃いアイスブルーの世界だ。 以下の写真が青っぽいのは合成ではなく、かなり見たままの色合いとなっている。 白を通り越して青いんだってば。 |
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先頭を行くガイド氏の足跡をたどってついていく。 やや固くしまった新雪を踏みしめると、キュッキュッという 心地よい音とともに、くっきりとした足跡がつけられていく。 おっと、平らだと思って油断してると氷の割れ目に足をとられるぞ。 |
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当然のことながら、流氷は1枚の大きい板ではなく、大小さまざまな 氷の塊となって押し寄せ、陸地にぶつかって折り重なった状態だ。 その上に雪が積もっているので、なだらか又は平坦に見えるけど、 実際に氷上を歩いていくと、クレバス状の裂け目があったり、 ごっそり穴が開いていて海に落ちそうな場所が無数にある。 これらに神経を使いながら、こまかいアップダウンを乗り越えて 歩いていくのは、結構な重労働である。 もう汗ばんできたよ・・・。 |
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氷の塊の下のほうに青い層があるが、それが本来の流氷本体。 その上に乗っている白い層は、後から氷上に降り積もった雪だ。 北海道沿岸に漂着する流氷は、普通の海水が氷結したものではない。 塩分を含む海水は氷点が低く、-20℃以下でないと凍らないそうである。 オホーツク海北部に流れ出るアムール川の淡水が凍って氷塊となり、 それが風や潮流に乗って南下し、北海道にまでたどりついのが流氷だ。 (たしかに、海水が凍るのなら流れないで全域が一枚氷になるはずだ。) その後、オホーツク海を長らく旅する間に、海上に降った雪が 氷の上に積みあがって、このような二段構造を呈するのだ。 |
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波打ち際には、中型〜小型の氷塊がひしめきあっている。 中型の氷とて、直径1mのもので重さ500kg以上はある計算だが、 それらが波の力で激しくぶつかり合い、ときには高くしぶきを上げたり ・・・あの氷の間に挟まれたら、それこそ足一本持っていかれそうだ。 一方、大型の氷がフタになってせき止め、外の波が届かない池のような 潮溜まり様のものもあり、一転してここは穏やかな表情を見せている。 |
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何の偶然か、大きな板状の氷が立ち上がってΛ型にそびえている。 そのサイズは、ゆうに2mを越す高さであった。 そこで、てっぺんに登ってポーズを取ってみた。 シュウッ! |
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こら、何をしている。 カシュカシュカシュッ!って、氷をカジるんじゃない! うまいか? ・・・へぇ、やっぱりちょっとしょっぱいんだ。 |
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歩いている途中、面白いものを発見! 氷の中に何か黒いものがあると思ったら、ギョっ?! 魚が封印されているではないか! この埋まり具合から想像するに、アムール川河口付近で泳いでいたところを 氷に囲まれて出られなくなり、そのまま氷漬けになってしまったものに違いない。 |
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岬の向こうには朝日が当たりはじめたのだろう、まっ白な岩山が輝いている。 手前の流氷のブルーと、沖に浮いた流氷のホワイトが対照的だ。 |
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氷の穴みたいになったところに降りて、そおっと耳をすませてみると、 ・・・ゴォン・・・ゴワッ・・・グュッ というような、水中で流氷同士が ぶつかりあう時の音が氷を伝って低く響いてくるのが聞こえるぞ。 |
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場所によっては、こーんなに大きな潮溜まりも。 ここには波がこないので、水面はシャーベット状になって ジャクジャクしている感じだ。 アイスデザートならおいしそう・・・というところだが、 ここに入ったら寒そうだなーとか考えると、ブルブルッ! |
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そこに、直径2m弱の丸い中型の流氷がプカプカ浮いている。 「うん、あれなら乗っても沈まないと思いますよ。」とガイド氏。 よし、じゃあ一丁乗ってやろうじゃないのさ。 |
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ジャンプして飛び乗るぞ。 そーれ、とぉっ! おっとっと・・・乗れた、乗れたよっ! うまくバランスを取らないと、ゆ〜らゆらして落っこっちゃいそうだ。 はっ、よっ。 気分は、 ♪つっかっもおぜっ!ドラゴンボールっ!(←筋斗雲に乗ってるつもり) |
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空は快晴、ぬけるような青空だ。 スカイブルー、マリンブルー、そしてアイスブルー。 どこまでも青い世界が広がる。 |
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うっはあぁ〜! き〜もちいいぃ〜!! 新雪の上にぼっすーん! 歩き回って火照った体にやわらかい雪のふとんが心地よい。 |
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そうそう、セイウチ体験をしなくっちゃでした。 まずは、新雪を掻き分けてセイウチ歩きの訓練。 おうっおうっ。 うん、これなかなかキツイぞ。 |
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よし、それじゃ次は、氷水への突入訓練だ。 こっちの隙間から、すべり台みたいに降りていくんだ。 水温が0℃近くても、気にすんな! それワカチコワカチコ! |
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ざぶ〜ん・・・ぷかぷかぷか。 おおぉー、浮いた〜。 ドライスーツ内には空気が残っているから、 そっと入っていけば沈むことはないのだそうだ。 氷水の中に浮いているなんて、普通ありえないなー。 でも、水さえ染みてこなければどうということはない。 体感的にはたいして冷たくもなく、意外と快適?! |
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と ・ こ ・ ろ ・ が、 だ。 「大丈夫、ふつうは絶対に沈みませんからねー。」という言葉を信じて ずぞぞぞと入っていくと・・・ブクブクブク・・・ザバッ! ぷはーっ?! 着水して浮かぶと思いきや、そのまま頭まで水没・・・! 足が海底について、それからやっと氷の中に浮上した。 横で見守っていたガイド氏も、目を丸くして驚いている。 「ふつうは・・・絶対に沈まない・・・はず、なんですけどねぇ?」 なぜゆえオレだけ沈む〜?! ふつうじゃないのはわかっているが! どうやらその答えは、ジャストサイズのドライスーツにあったようだ。 オーダーメイドばりにぴったりのスーツ内には、余分なスペースはなく 空気が溜まっていないために、浮きの役目を果たさないのだ。 その結果、潜水服と同様の効果を発揮し、頭まで水没するはめに・・・。 い、いや、流氷の下まで潜った(しかも素潜り!)なんて、貴重な経験だよ? |
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いろいろあって楽しかった訓練(流氷ウォーキング)も、そろそろ終了時間が近づいている。 だいぶ日が高くなってきて、明るい陽射しが流氷に当たり、その存在を際立たせている。 浮いている大きな塊なんか、まっ白でアイスクリームみたい! |
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陸地沿いに海上の流氷を歩いていったので、 拠点に停めた車までは、国道を歩いて戻る。 1kmとまではいかないが、7〜800mくらい行ったのか? 結構な距離を進んで行ってたんだねえ・・・。 適度な疲労感と、クールダウンされていく体が気持ちよい。 いやぁ、楽しかった。 ガイド氏、どうもありがとう! |
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一旦ホテルに戻ってきた。 チェックアウト前にシャワーでも浴びて汗を流そう。 はぁ〜すっきり気持ちいぃ〜。 体が暖まったところで、改めて海上を眺めてみる。 沖の流氷と陸地との間に、まるで架け橋のような流氷の流れができつつある。 なるほど、こうやって陸についたり離れたりしているのか。 |
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流氷の流れをズームで捉える。 空と海と氷の青と、雪と雲の白が渾然となって、心うばわれるような景色だ。 こうして丸い水平線を見渡していると、宇宙から青い地球を見ているような気持ちになってくるね。 |
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知床半島のほぼ中央にあるウトロを後にして、半島のつけ根にあたる斜里へと向かう。 途中、バスの車窓からオホーツク海を見やれば、ガードレールのすぐ先から遥か水平線まで続く大流氷原が・・・! ここら辺なら密度が高かったのに・・・と、ちょっと残念に思うがそれは運だから。 しかしすごい量の流氷に感動! |
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小一時間程度で、JR知床斜里駅に到着。 現在の駅舎は、平成19年に建て替えられたばかりの新しいものだ。 ここは世界遺産・知床半島への玄関口となる最寄駅であることから、 公営の観光センターを駅内に併設し、観光拠点として活動している。 ここの観光センターでは、通常の知床観光案内のほかにも、 インターネットを通じた衛星からの流氷情報なども提供してくれる。 |
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知床斜里駅にて出発時間を待つ流氷ノロッコ号。 白くそびえる海別岳を背景に、赤い機関車と緑の客車が美しい。 |
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SL冬の湿原号と並び、人気を二分しているのが「流氷ノロッコ号」だ。 夏期は「くしろ湿原ノロッコ号」として活躍するこの列車、「富良野・美瑛 ノロッコ号」などの兄弟分も道内で活躍している。 流氷ノロッコ号を引くディーゼル機関車は、大型のDE15-2510号機。 まだまだ現役で活躍中のDE15型だが、2510号機は上半分を黒色、 下半分を赤色のツートーンに塗り分けられた精悍な配色だ。 後ろに緑色の客車たちを従え、先頭を切って颯爽と走るその姿は シャア専用のMSを彷彿させる。 きっと普通列車より3倍速いのだろう。 |
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「ノロッコ」とは、「ノロノロ」進む「トロッコ」を合成して作られた名で、 のんびりトコトコと北海道の大地を進む観光列車を意味する。 客車内は、トロッコをイメージして作られたというとおり、 木製のベンチが並び、全面ガラス窓の開放的な雰囲気だ。 広い車窓から外を眺めれば、海側はオホーツク海に浮かぶ流氷群、 陸側ではまっ白な大地と、遠く斜里岳等の山々が見渡せる。 うーん、いいよねえ。 いかにも北海道らしい景色でさ。 また、海側は窓向きに横並びのベンチ、陸側は向かいあわせの ボックス式に並べられたベンチと、左右非対称のレイアウトも面白い。 木のベンチはいい味をだしているが、座席暖房もないシンプルなもの。 そのかわり、車内には石炭式ダルマストーブが設置されており、 のせられた金網でスルメなどを焼いて食べてもよいことになっている。 でもスルメは固いしねぇ・・・と思って、なにも用意しなかったのだが、 くんくん? なにやらスルメとは違った、香ばしいニオイが・・・。 あ、この人ってば、フランスパン焼いてる! それはナイスアイデア! ところで、隊員よ。 ひとりでなに食ってんのさ?! |
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列車は途中駅の北浜に停車した。 北浜駅では7分ほどの停車時間がある。 その時間を利用して、駅ホームに設けられた展望台に登ってみよう。 階段を登った先は3階ほどの高さであるが、周囲に視界をさえぎるものはなにもないため、すばらしい眺望が得られる。 海の向こうに見える白銀の峰は知床連山。 知床半島には羅臼山を筆頭に1500m級の山が連なっているのだ。 |
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進行方向の藻琴〜網走方面を望んだ1枚。 粉砂糖を振ったような浜辺に沿って、2本のレールが伸びている。 この辺りは、押し寄せる強い海風のためかあまり雪が深くないようだ。 ・・・おぉ寒い寒い、早く車内に戻ろう! |
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まもなく流氷ノロッコ号は、終着・網走駅に到着。 | |
明るい昼下がりの太陽が照っているが、気温は氷点下であり、 路面の雪も溶ける気配をみせない。 でも、旅も4日目ともなると、雪上を歩くのにもだいぶ慣れた。 流氷の上でも訓練したしね。 つるっ・・・おっと、あぶねっ! |
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網走といえばここへ行っとかなくっちゃね、ということでやってきました網走刑務所。 とはいっても、こちらは旧刑務所の建物と跡地を利用して作られた博物館「網走監獄」のほう。 敷地内には行刑資料館や、移築再現された施設などが公開されているので見学していこう。 まずは正門前にて立番勤務に服す。 ビシッとね! |
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明治40年代に建築された網走刑務所の特徴的なひとつが、 五翼放射状舎房と呼ばれる、囚人の収監施設だ。 5列の獄舎が放射線状に配置され、刑務官のいる中央監視所から 全ての獄舎が目視できるように設計されているものである。 その監視所からの見通しがこれ。 ずっと奥まで居房が続いている。 |
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現在では網走刑務所は移転しており、旧刑務所は観光施設としての 役割だけになっているため、広い敷地は至ってのどかなものである。 農園に向かう林の近くでは、真新しい野ウサギの足跡も見られた。 |
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現在の網走刑務所。 旧刑務所のある天都山のふもと、網走川に沿って高いレンガ塀が見える。 |
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さて、訓練旅行の終着地・網走での本来の目的は、刑務所見学ではなく流氷上への船出である。 紋別のガリンコ号と並び、流氷観光船として人気を博している砕氷船オーロラ号に乗船するぞ。 ちなみに、 オーロラ号には現役就航中の同型船が2隻あり、流氷観光航路では交互の出航となる。 白い船体に赤と青のトリコロールがオーロラ号(1号)、同型で白・赤・緑の組合せがオーロラ2号だ。(写真はオーロラ2号) |
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網走港の水面は波ひとつなく、極めて穏やか。 当日は流氷群が沖に遠ざかっていることもあり、港内に大きな 流氷は見られず、「ハスの葉氷」の残渣が浮かんでいるのみ。 ハスの葉氷というのは、氷点下の状態で港内などの凪いだ海面に 蓮の葉の形に薄氷が成長して見られるもの。 海から押し寄せる流氷とは別物であるが、ハスの葉氷ができる ような寒さになるころ、北の海から流氷がやってくるという。 |
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突堤に立つ純白の灯台を右舷に見ながら外海へ向けて航行する。 天気晴朗、視界極めて良好。 絶好の航行コンディションである。 本船の目標、前方沖の流氷群・・・全速前進! よぅーそろぉー! |
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目指す流氷群は、陸地から数kmの沖合いに帯状になって漂流中である。 やはりここら辺りの流氷もきまぐれな動きをするので、日によっては10km先の能取岬の先まで 追いかけなければ見ることのできないこともあるというから、まずまずの位置にいてくれていると言えよう。 |
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航行するオーロラ号のすぐ近くまで、カモメが飛来。 甲板に並ぶ人間を一瞥するように、上空を旋回して沖へと向かっていった。 |
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10数分の航行で、流氷帯に到着。 流氷の帯は大小様々の氷が入り混じり、数十〜百m程度の幅で蛇行するように漂流している。 |
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まともな常識であれば、流氷群を避けて航路をとるところだが、 オーロラ号は敢えて流氷の中へ割り込んでいく。 普通の船でこんな無茶をしたら、船首から船底にかけて傷だらけに なるか、最悪、損傷部位から浸水または座礁してしまうのがオチだ。 しかし、砕氷船として建造されたオーロラ号は、ずば抜けた堅牢性と エンジンパワーを誇り、一面に張った氷でも船首から乗り上げ、 船体の重量で割り進むことができるような構造になっているため、 このくらいの流氷群などへっちゃら。 全く苦にならない様子。 |
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一番高い位置にある展望デッキに立っていても、船底からは 「ゴゴンッ・・・ゴリッ、ゴツッ!」というような、流氷を乗り越える 音が響いてくる。 船尾に回ってみると、本船の幅広な航跡がはっきり見えるが、 これは流氷を船体で左右に押しのけて進んでいるからである。 小型の船ならば、オーロラ号のぴったり真後ろについていれば、 流氷に当たらずに航行できるはずだ。 |
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いま、流氷原のまっただ中! 遥か海の向こうには、白銀の知床連山を擁する知床半島が横たわっている。 |
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流氷の中には、10〜20畳以上もの広さを持つ大型のものもある。 あの大きさなら、乗用車を載せても沈まないかもしれない。 むしろ、あの氷にぶつけられたら、車のほうが大破してしまいそうだ。 |
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む? 端っこの流氷の上に、何か黒いモノがとまっているぞ? よし、最大望遠でズームイン! ・・・ちょうどその時、船内放送で「流氷の上にいるのは天然記念物のオオワシですよ。」とのアナウンス。 ほー、珍しいものを目撃できたね。 |
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まばゆいばかりの陽光の中、カモメが優雅に舞ってゆく。 しかし、写真での陽射しの明るさとは裏腹に、とにかく超絶に寒い! 風を切って進む船の上でも、展望デッキでの体感温度はさらに低い。 デッキに出るならば防寒服はもちろん、帽子+耳あてが必需品だ。 |
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約1時間の航行を終えて、網走港へと帰投する。 陽もだいぶ傾いてきたようで、流氷に影が見え始めた。 運がよければ流氷上にアザラシが見られることもあるというので 目を皿のようにして周囲の観測を続けてきたが、残念ながら 航行中にアザラシとの出会いはついに廻ってこなかった。 ・・・しかしこれで訓練航行が終わるわけではないぞ。 港に着いたらすぐオーロラ2号に乗り移り、もう一度出航だ! |
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天候のよい日だけ、最終通常便の後に「サンセット・クルーズ」という 海上から夕陽を見ることができる特別便が運行されている。(2〜3月のみ) 桟橋からオーロラ2のデッキに駆け上がると、すぐにタラップが 引上げられて出航となった。 待っていてくれてありがとさんくす! すでに日没時刻が近く、白い灯台もオレンジ色に輝いている。 |
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西の大地に陽が傾けば、東の空には白く輝く月が昇る。 知床の山並みがパステルピンクに染まり、ファンタジックな時間の訪れを告げている。 |
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びっしりと海面を埋めつくす流氷群も、夕陽を受けて赤く染まってゆく。 たくさんあったバニラアイスが、全部いちごアイスになった感じ。 けれど、不思議と温かみを感じる色合いだ。 |
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燃える太陽が最後の輝きを放ち、地平に消えてゆく。 |
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金色(こんじき)に光る空は、数十秒で闇へと変っていく。 昼と夜との境目の、ほんの僅かな時間を切り取った写真だ。 |
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陽光が直接届かなくなると、流氷たちはたちまちピンクからブルーへとその表情を変える。 |
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能取岬が右手に見える・・・反転して帰途に向かっているようだ。 デッキ上の投光機に灯が入り、暗さを増した海面を照射し始めた。 白と緑のカクテルライトが、青い流氷に新たな色調を与えていく。 |
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身を切る寒風吹きすさぶ展望デッキから、1階デッキへ降りてきた。 ここは水面に近いことから、流氷をより間近で見ることができる。 厳寒の訓練旅行もそろそろ終りに近づいていることを感じつつ、 たそがれの流氷原をみつめる。 |
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船が速度を増した。 いよいよ港へと帰る時間になったようだ。 大きな流氷の塊が、次々と船側を流れるように過ぎ去っていく。 |
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今回も無事に旅が終ることを祝して、記念撮影を。 ぐッ! |
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網走港の灯火が人の住む街の明かりを思い出させる。 さあ、女満別空港へ急がないと、帰りのフライトに間に合わないぞ! |
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こうして、せいうち探検隊の厳冬北海道訓練は終了した。 これまで冬の北海道は敬遠してきたところがあったのだが、今回の旅で冬ならではの北海道の魅力を知ることができた。 その反面、期待していた野生のアザラシ(あわよくばセイウチも?)との出会いは、幸運に恵まれなかったため、 次回以降の機会に期待しつつ、またいつか再来することを胸に、北海道を後にしたのであった。 |