その11
3日目・オホーツク沿岸ライン

04.11.08.up


さあいよいよ旅の最終日。 あいかわらず忙しい日程であるが、今日は水族館にも立寄るぞ!
稚内を出発し最北端の地・宗谷岬を極めた後、オホーツク沿岸の紋別からサロマ湖、
そして終着地は網走・女満別空港まで、延々と海沿いの国道を走り続けるルートである。

稚内から宗谷岬に向かう前に、ノシャップ岬へと足を伸ばす。
ノシャップには2つの目的とするターゲットが存在しているからである。
その1つが、日本最北の水族館・稚内市立ノシャップ寒流水族館だ。
国内でも数少ない市立の水族館であるというのもめずらしいが、
稚内灯台と水族館が一体となっているという一風変った施設でもある。


今朝は少々早出をしたためか、まだ水族館は開いていなかった。
宗谷海峡を望む岬の公園で、記念撮影をしよう。
吹きつける風は強く、白く逆巻く荒波の彼方にはうっすらと樺太の影がゆらめく。


こらこら。
そういうコトをするために置いてあるんじゃない・・・と思うぞ?
でも、角度がちょっとイイ感じ。


灯台や水族館に併設されている南極越冬隊資料展示室も覗いてみよう。
うわっ?! でっかいトドの剥製がぁっ! ・・・とか驚いたり。
隊長は雪上車の運転席に座らせてもらって、ご満悦のようす。
でも雪上車って、見た目よりも車内が極端に狭いんだよなあ。


そろそろオープンの時間でしょ!
開館待ちのお客さんが並んで・・・ナイので、本日の一番乗り確定!


ゲートを入ってすぐのところに「アザラシ池」がある。
果てしなく澄んだ青空が開放的な雰囲気を出している、いいデザインだ。
池に満たされた水は、すぐ横に広がるオホーツクの海と同じ色をしているぞ。


本日初めての客足を聞きつけたからか、
わっ!と一斉にあざらしたちが姿をみせた。
さっきまで静かだった水面がバシャバシャと
波立って、急に賑やかになった。

みんな元気よく、活発に泳ぎ回っているねえ。
中には、びよーん とおへそぐらいの高さまで
水面から伸び上がってみせてくれる者までいる。

・・・おっと、でもやっぱり1頭くらいは
寝ぼすけさんもいるみたいだ(ーー)zzz。



奥の浅くて小さいプールに、1頭だけ小っちゃい子ゴマフが。
うひゃあ、かーわいいなー!
でもひとりっきりでさびしくないのかい?


話しかけてみたら、こっちをじいっと見つめている。
(届きはしないんだけど)手を伸ばしてやると、匂いを嗅ごうと近くまで寄って来た。
寒い冬が来る前に、早く大きくなりなね。


ナゼか、お向かいの「ペンギン池」にもゴマフが住んでいる。
陸地でひなたぼっこをしているペンギンたちを横目に、
気持ちよさそうに泳ぎ回っている光景は、なんとなく不思議。
(ペンギンたちの故郷・南極にゴマフはいないものね・・・)


もちろん、ここの水族館で見られるのはあざらしやペンギンたちだけではない。
寒流水族館というだけあって、寒流域に生息する独特の魚などが展示されている。
流氷の天使ことクリオネは、ハダカガイの一種。 こっちはわりと有名だよね。
右のフウセンウオは、名前も変だけど腹ビレが吸盤になっているという超変りダネ。
体長5cm程度の鮮やかなオレンジ色で、水底の石にたくさん張りついている姿は
ガチャポンのカプセルから出てきたビニール製のおもちゃのようだ!

館内には、こんな不思議な生物も展示しているのだが、
規模的には非常に小さい施設なので、あっという間に見学終了。
さて、もう一度あざらしたちに会って、お別れを言ってから出発しよう。



ノシャップを訪れたもう一つの目的、それがここ
お食事処 樺太に寄ることである。

思えば9年前、バイクでたどり着いたあの日、
風にはためく「うに丼」の幟に惹きつけられて
ふらっと立寄ったこの店であったが、あの味が
忘れられずに、今日、ついに戻ってきたのだ!

店内の壁には、ライダー&チャリダーが記した
旅の記録がびっしりと貼られている。
(もちろん天井にも、しかも何層にも重ねて!)
きっとこの中のどこかに、あの日、この場所で
うに丼を待ちながら書き記した短冊がある・・・。


キター(^^)!! 待ってましたのウニ丼!
ここのウニ丼は、甘い生ウニが大量に盛ってあるだけではなく、
イクラとカニとホタテをサービスで乗せてくれるのだーっ!
(もはやウニ丼ではなく、海鮮丼と呼んだほうがいいのでは?という説もあるが・・・)
しかも、このイクラときたらプッチプチ! ホタテなんか超肉厚でプリップリ!
いやー、ホントにこの一言しかないです。 まいう〜!!



さて、おなかもふくれて満足したところで、そろそろ出発しようか。



稚内からさらに北東へ走ること約30km、いよいよ宗谷岬に到達した。
ここは北緯45度31分14秒、まさに日本最北端の地である。
つまり、宗谷海峡は国境の海でもあり、その向こう側には、
いまはロシア領サハリン州となっている樺太が横たわっているのだ。
岬の先端部分は公園になっており、最北端を示す記念碑のほか、
樺太探検家・間宮林蔵の像や、♪流氷とけて〜・・・の「宗谷岬」歌碑などもある。



こらこら!
だから、そーゆーコトはしなくてもいいのっ!

え? せいうちinオホーツクのポーズ
真の最北端を極める!

記念碑の裏側、つまり北側に回り込み、
岬の先端部分となる岩場の中でも 
最も北端に位置している岩の上に立つ。
大波が来れば水をかぶってしまいそうだが、
ここがまごうことなき最北端の陸地であ〜る!


せっかくなので、隣にあった石を積みなおして
日本の領土を北に20cmばかり広げておいた。



宗谷岬を発つと、ここからは延々とオホーツク海を左手に見ながらひた走る旅となる。
オホーツク沿岸は、岬や入り江がほとんどないまっすぐな海岸であり、
これに沿って伸びる国道もまた、ひたすらにまっすぐな道である。
しばしドライバーチェンジをして、車窓から流れる景色にレンズを向ける。



でっかいどう! 北海道!
これぞ北海道という、広大な牧草地だ。
草の上に寝ころんで、大空を流れる雲を眺めていると、
日常の煩わしさを忘れることができそう。
・・・刈りたての牧草で背中がチクチクするけど。


牧草地にゴロゴロと転がっているドラム缶みたいなモノは、
「牧草ロール」と呼ばれる、刈った牧草をシート状にして巻いた草の塊だ。
遠くからだとサイズがよくわからなかったが、そばに立ってみると
直径が1.5m近くもある巨大なロールであることがわかる。
ニオイは・・・畳みたいだ・・・。 (←干草の香りと言いなさい。)



途中、ガイドブックでみつけたおいしいソフトクリームを求めて、
興部(おこっぺ)にあるノースプレインファームのミルクホールに寄り道をする。
おこっぺ牛乳をふんだんに使ったミルクソフトは、早く食べないとすぐに溶けちゃうぞ。
うわぁ、濃厚なミルク味ですごくウマ〜っ!
あっ、しまった! 写真とるのを忘れて夢中で食べちゃった・・・。



本日第2の目的地である、オホーツクとっかりセンターに到着。
ここは宗谷から網走に至る沿岸ラインの中間地点にあたる紋別市にある。
「とっかり」とは、アイヌ語で「あざらし」を意味する言葉で、
名前のとおり、あざらしのみを保護飼育している施設である。


入場料200円を改札機に投入して園内へ入る。 ヤケに安いね?
中はこの写真に写っているのが全てというほど、小規模な施設である。
それもそのはず、ここはいわゆる普通の水族館と異なり、
迷子になったり漁の定置網にかかってしまった赤ちゃんや病気の子供などを引き取って
養育や治療をする目的で作られた、国内唯一の「あざらし保護センター」だからである。
わずかな入場料も、餌代や治療薬代に使われているというから感動!


ここが園内にある「あざらし病院」。
建物の中には、バスタブのようなミニプールが並んでおり、
治療中のあざらしたちが入院ベッドに使っている。
ここでの看病で傷が癒えたあざらしは、外のプールへ移され、
海に帰る準備のリハビリをすることになるそうだ。


この日は、道内の行政担当者らの視察会が
あったようで、スーツ姿のおじさんたちが
大挙してうろうろしていた。
(う〜ん、一種異様な光景だ・・・。)

普段は海獣たちに縁のなさそうな人たちだけど
あざらしたちは結構な人気のようだ。
これからは、海獣たちにも気遣った施策を
お願いしますよ!


とっかりセンターは、別名を「ゴマちゃんランド」というくらい、
保護されているあざらしの大多数はゴマフアザラシであるが、
中にはめったに日本近海までやってこないアゴヒゲアザラシの姿も。


そう、アゴヒゲアザラシといえば、
横浜にも現れた「たまちゃん」で
一躍有名になった種である。

ほほぅ、こうやって泳いでいる姿を
見ると、多摩川で初めて出会った頃の
たまちゃんにそっくりだ。


現在、とっかりセンターで生活しているアゴヒゲアザラシはこの2頭。
手前は男の子の「あさ」くん 6歳、奥は女の子の「のん」ちゃん 6歳。


アゴヒゲアザラシの特徴といえば、やはり
名前の示すとおり、長く伸びたあごひげだろう。
これは、せいうちのヒゲと同様に、食料となる
海底の貝などを探るのに使われる。

その他の特徴としては、頭のサイズのわりに
胴体部分が長くて、胴長短足に見えること、
大きめの爪がついた前ヒレの指は、関節が
しっかりとしていて、手のひらが水かきのように
なっていることなどが挙げられる。
(下の小写真はゴマフアザラシのヒレ。指がくっついていて1枚ヒレのようだ)
また、おなかについている乳首の数も、ほかの
種のあざらしが1対2個なのに対して2対4個の
乳首を持っているのもアゴヒゲならでは。




おもしろい事実、発見!(・・・というか教えてもらったんだけど)
アゴヒゲアザラシのあごひげは、用途こそせいうちのヒゲと似ているが、
その太さや硬さはだいぶ異なるようである。
ビヨ〜ンとしているせいうちのヒゲよりも、やわらかくてシャシャッとした感じ。
しかも、水に濡れて湿っているときにはまっすぐにピンとしているヒゲなのに
しばらく陸にいて乾いてくると、あーら不思議。 クルクルっとカールしてきたぞ!
カールしたおヒゲは、トランプの絵札に描かれたキングの口ひげみたいだね。
(写真左は水から上がりたての濡れたヒゲ、写真右は5分くらい経過して乾いてきたヒゲ)


アゴヒゲたちの解説を聞いているうちに、「そろそろ時間ですよ」と教えてくれた。
なんの時間か?と思っていると、フェンスが開けられると同時に
ゴマフたちが列をなして、次々に飛び出して来たぞ?!
びちびちびちっ!


うわぁ、いっぱい出てきたなぁ〜・・・。
1、2、3、4・・・全部で9頭ものゴマフ♂軍団が大集合だ!
で、みんな飼育員のお姉さんのところに集まるのかと思いきや、
それぞれ好きな場所に転がってしまう・・・。 お客さんの向こうまで行くか?


そんな中でも、「グーッ!グーッ!」と
大きな声を出して甘えている集団がいる。

写真の手前にいるのは「グーグ」くん。
その奥でお姉さんに構ってもらっているのが
グーグの長男の「忍」くん、さらにその奥が
次男の「カズキ」くんという親子連れ。

なんでも、いつも「グーッグーッ」と
鳴いているから「グーグ」っていう
名前がつけられたとのこと。
グーッ!グーッ!グーッ!
・・・本当だ・・・。


お姉さんの号令で、一斉にうつ伏せっ! 仰向けっ!
わはは、気をつけの姿勢のまんま、おなかを出して転がっている姿は笑えるぞ。
でも、本人は一生懸命だよな?!  ぷぷっ(←笑っちゃ悪いと思うけど、やっぱおもしろ〜い!)


「同じゴマちゃんでも、体の場所によってやわらかさが違うんですよ。」
ですと? どーれ、ちょいとゴメンよ・・・。 失礼して、タッチさせてもらうよん。
おーう! これは新発見!!
全体的に「ぷにぷに」なんだけど、背中のほうは張りがあって「ぴちぴち」なのに対して
首の後ろ付近はもっともっとやわらかくて「ぷにゅぷにゅ」しているぞっ!!
・・・思わず手が「もみもみ」してしまったよ。  ふひゃひゃ、気持ちイイ〜!


どうよ、満足したかい?
あ、こりゃどうも・・・。 いろいろ勉強になりました。
うん、わからないことがあったら、またおいで。
こう言うと、ゴマフ軍団はプールに帰って行った。
でも本当に、まだまだ知らなかったいろいろなことがあるんだなぁ。


ゴマフたちの喧騒もなんのその。
横のプールでひとりお昼寝をきめこんで
いるのは、とっかりセンターで唯一の
ワモンアザラシの「モン」ちゃん。

でもワモンのヒゲは、乾いてもまっすぐのまま。
長いヒゲが放射線状にピンピンとしていて
線香花火みたいな顔立ちをしているね。


クゥーッ! クゥーッ!
おや? お隣のプールから、ナニやら呼ぶ声が・・・。
見ると、ちびあざらしがゆらゆらと立泳ぎしながらこちらに向かって叫んでいる。
どうしたの? おなかでもすいたのかい?


さて、もっとゆっくり見ていたいけど、そろそろ出発しないと
飛行機の出発時間に空港までたどり着かないぞ。
ふりかえると、あいさつの練習に励んでいるのんちゃんの姿が見えた。
とっかりセンターに来るあざらしたちの中には、元気になって海へと帰っていく子もいれば、
このままここに残っての生活を続け、人々に生命について教える役目に就く子もいる。
どちらが幸せなのかは、当のあざらしたちにしかわからないが・・・。
せっかく拾ったその命、どんな生き方だとしても、最後まで全うしてほしいものです。



とっかりセンターの前に広がるホワイトビーチ。 そこにはなぜか、ゾウアザラシの巨像が・・・。
(実は、おなかから背中にかけて、トンネル状のすべり台になっている)
これはきっと、「例のアレをやれ」っていう啓示だな?
それじゃ遠慮なく、・・・よいしょっと。
北海道満喫で、せいうち今日も大感激ィ!!



いよいよ北海道を後にするときが近づいてきた。
紋別を発ったあとも、サロマ湖畔で名物の大ホタテ貝焼きを味わうなど
北海道旅行の最後を惜しみつつも、時間との戦いを続けて走ってきたが、
日没前に、どうやらゴールの女満別空港に到達できる見込みとなった。
3日間の旅をともにした黄色いマーチを返納する前に、荷物整理を兼ねて
最後の休憩を「道の駅・メルヘンの丘めまんべつ」で取ることにした。
広い麦畑の向こうには、網走湖が夕日を受けて輝いているのが見える。
最後の最後まで、北の大地は雄大な景色をプレゼントしてくれたのだ。
ありがとう、北海道。  また来る日まで!




旅のおみやげコーナー
さすが北海道、各所にせいうちやあざらしグッズが盛りだくさんで、
いつになく大量のおみやげをゲットしたぞ!
まずは職場へのおみやげにも使用した、「ごまあざらしの玉子」。
本物のアザラシは卵からは生まれませんって、ちゃんと箱に注意書きがあるけど、
「ゴマアザラシ」じゃなくって「ごまあざらし」っていうのがミソ・・・かな。
中身は、ココア味のケーキをホワイトチョコでコーティングしたお菓子でした。
「流氷王国 アザラシの白い王子さま」は、1個1個があざらし型をしたグミキャンディ。
オレンジ味でおいしいけど、ちっとも「白い王子さま」じゃないぞ?
いっそミルク味にしちゃったほうがいいんでないかい?(←ちょっと北海道弁)
右の写真は、ドームの中でクリオネちゃんがプカプカと泳ぐ置物。
流氷の上に灰色のあざらしが6頭も配置されていてグーです。

左上は、小樽工藝館の「あざらし君」。 中空の
部分がすりガラス状になっていて、雪玉のよう。
右上は、同じく小樽にてゲットのレーザー彫刻
されたクリスタルマスコットの「ごまっち」。
中段は、おたる水族館の木製キーホルダー。
温かみのあるせいうちレリーフがいい感じ。
下段は、やはりおたる水族館で入手した海獣
フィギュア詰合せの「マリンマンマルスBOX」。
お目当てのセイウチを筆頭に、アザラシ、トド、
アシカからシロナガスクジラに至るまで、13種
21個もの一大ラインナップ。
ジュゴンとマナティの区別までしているとは、
もはやマニアック向けセットと言えるカモ?!
ボックスの中身は、セイウチ、アザラシ、アシカ、トド、ラッコ、ジュゴン、マナティ、バンドウイルカ、カマイルカ、
イロワケイルカ、シロナガスクジラ、ベルーガ、シャチの13種類。同じものが2個組になっている動物もいるぞ。

ラストは、旅の初日に小樽工藝館のサンドブラストで製作したグラス、名付けて「OTARU'04」。
横浜せいうちランドのキャラクター、せいうちのきゅうきゅうとあざらしのキュッキュを
描いてみました。 我ながら、なかなかの出来栄えだと思いますが、どうですか?
ちなみに、上の写真の左側に写っているのは同行隊員の作品。 ・・・よくわかりません。



以上で、せいうち探訪の旅・北海道編は終了、そして
「日本中のせいうちに会いに行く」という大目標を掲げて続けてきた旅も
おかげさまをもちまして、今回の旅で9箇所全てに訪問完了となりました。
しかし、せいうちを求める旅はこれで終るわけではない!
まだまだ成長を見守らなければならない子せいうちたちもいれば、
消息筋の情報によると、新たにせいうち導入を画策中の水族館もあるとか。
そう、この世にせいうちがいる限り、せいうち探訪の旅は果てなく続くのである!!